インボイス制度と対策
インボイス制度が導入される背景には、免税事業者(年間の売上が1,000万円以下の事業者)の「益税問題」があります。
現在の制度では、免税事業者であっても消費税を上乗せして代金を請求することができ、そのこと自体に問題はありません。
ただ、免税事業者は消費税を受け取っても、消費税を納税する義務がないため、消費税部分が利益(益税)となっています。
今回のインボイス制度導入は、このような消費税の「益税問題」を解消するのが狙いだと言われています。
不動産賃貸業で問題となるのが、借り手が事業者(会社)の場合です。オーナーが免税事業者の場合、賃料の仕入税額控除が使えなくなるからです。
その結果、借主は次の行動が想定されます。
①消費税分を賃料から減額してほしいと交渉される。
②インボイスを発行してもらえる物件に移転する。
それに対して、免税事業者のオーナーの対応策として
は、以下の2つが考えられます。
対策①「課税事業者になる」
売上が1,000万円以下でも、課税事業者になればインボ
イスを発行することができます。納税義務は生じます
が、インボイスを発行することで、物件の競争力を維持
し退去を抑制する事が可能となります。
対策②「免税事業者のまま賃料の減額を検討する」
免税事業者のままではインボイスを発行することができ
ないため、消費税を取っていた場合はとらない。取って
いなかった場合でも、ケースによっては消費税分を減額
して対応することが考えられます。実際には、借り手の
意向や賃貸不動産の家賃相場などを考慮し、決める事と
なります。
多くのケースでは、免税事業者のまま、賃料の減額を検
討することが想定されますが、インボイスには経過措置
が設けられているため、はじめから消費税分全額を減額
する必要はありません。
また、どちらの対策が有利なのかは、物件の種類や売上規模、テナントなどを考慮して判断する必要があるため、税理士などにもご相談の上、決められることをお勧めいたします。
当社としましても、オーナー様及び物件の個別事情を考慮の上、アドバイスをさせて頂きますので、ご不安な点などございましたら、まずはお気軽にご相談ください。